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amillcoffee(アミルコーヒー)| 酒井 直樹さん・アンナさん

東京から移住して自家焙煎コーヒー店をオープン。 地域に根差した店づくりを目指すご夫婦の物語。

amillcoffee(アミルコーヒー)| 酒井 直樹さん・アンナさん
01.プロフィール

夫・直樹さんは山口県下松市出身。妻・アンナさんは東京都出身。お2人は東京の自家焙煎コーヒー店「AMAMERIA ESPRESSO(アマメリア エスプレッソ)」で経験を積み、結婚を機に直樹さんの地元である山口県へ移住し、独立することを決意。2021年4月、周南市政所(まどころ)に「amillcoffee(アミルコーヒー)」をオープン。“まちのコーヒー屋さん”として、地域に根差した店づくりを目指す。

直樹さんはコーヒーの香味を識別するカッピングの全国大会で3度の優勝、アンナさんはコーヒーの抽出技術を競う全国大会で第5位の成績を収めた経験もあるなど、コーヒーに関する実力と知識は全国トップレベルを誇る。

02.モノとコト

まちを歩いているときに「ここにこんなに素敵なお店があったんだ」という発見があると、なんだかものすごく得した気分になりますよね。コロナ疲れでストレスが溜まりがちな毎日、ときには心をゆるませる時間も必要です。そこで今回は、東京から移住されたご夫婦が手掛けるステキな自家焙煎コーヒー店をご紹介します!

 

日常をより豊かにしてくれるコーヒー

JR新南陽駅から歩いて5分。周南市政所(まどころ)にオープンしたのが、酒井さんご夫妻が手掛ける「amillcoffee(アミルコーヒー)」です。

店内に入るとたちまちコーヒーの良い香りにふわっと包まれます。アミルコーヒーでは、丁寧に自家焙煎された新鮮なコーヒー豆の購入、コーヒーのイートインはもちろんテイクアウトも可能です。

この日、店頭に並んでいたのはオリジナルブレンド1種とシングルオリジン4種。コーヒーの香りを嗅ぎ比べて、好みのものをオーダーできます。

「標高が高いエチオピアは、昼夜の寒暖差が大きくなるため、コーヒーチェリーの種子が硬く引き締まり、甘みや酸味などがぎゅっと凝縮されます。逆に標高の低いブラジルだと、熟成するのが早いため、酸味よりもナッツやチョコレートのような風味が特徴的です。火山灰土壌のグアテマラでは、すっきりとした酸味とまろやかさを感じられる良質なコーヒーが育つんですよ。おいしいと感じる基準は人それぞれなので、いろいろなコーヒーを飲み比べてみてください」と、妻のアンナさん。穏やかで滑らかな口調が心地良く耳に響いてきます。

一杯のスペシャルティコーヒーができるまで

普段私たちが何気なく口にしているコーヒーですが、コーヒーの木の栽培から実の収穫、精製、選別、運搬、焙煎、抽出と、一杯のコーヒーにたどりつくまでには驚くほど長い道のりがあります。そして、コーヒー豆も野菜や果物と同じ農産物。育てられた場所の土壌によってその風味は大きく変わります。その年の気候条件にも左右されることから、同じ農園であっても毎年同じ味のものができるとは限りません。さらに、豆を覆う果肉ごと乾燥させるのか、果肉を取り除いて洗ってから乾燥させるのかなど、豆の精製方法もさまざま。コーヒー独特の香りを生み出すための焙煎、淹れ方も含めて、ものすごく手間と時間をかけて作られているのです。

アミルコーヒーの豆のパッケージには、コーヒー豆の生産国や生産者、エリア、標高、精製方法、コーヒー豆の品種が記載されています。ここまでの詳しい記載は「スペシャルティコーヒー(全ての段階において一貫した体制・工程で品質管理が徹底されているコーヒー)」でないとできません。高品質であることが問われるスペシャルティコーヒーは、生産から流通までの道筋を徹底管理し、追跡可能な状態にしておくことは必須条件。いつどこで誰がどのように作ったのか、コーヒーの種の植え付けの時点からコーヒーカップに注がれるまでを見守る工夫がされています。

五感と感性を頼りにした焙煎と抽出技術

産地や作り手によって味の違いが出るコーヒーはまさに嗜好品。加えて、焙煎されることで生豆に含まれる成分が化学変化を起こして、魅力的な味と香りを生み出します。どれだけ豆のポテンシャルを引き出せるのかは、焙煎士の腕の見せどころ。同じ豆でも焙煎する人によって全く味が変わってくるというから不思議です。

アミルコーヒーで焙煎を担当するのは直樹さん。

「常に豆の香りを嗅ぎながら火力を加減し、さまざまなデータをとりながら最適な焙煎プロファイルを導き出しています。寝ているときに焙煎している夢を見ることもあり、そこで閃いたりもします。」と、寝ても覚めても焙煎のことが気になる様子。ひたすらコーヒー豆と向き合う真摯な姿勢がうかがえます。

直樹さんが焙煎した豆をブリュー(抽出)するのはアンナさん。

「ドリップ時のお湯の温度は90℃、1秒あたり10gのお湯を注いでいます。お湯の太さを目で確認しながら調整しています。出来上がったコーヒーは上と下の成分が均一になるように撹拌します。」

毎回同じ味をつくるためには熟練した抽出技術が必要なんですね。

アミルコーヒーで行っている抽出方法は、ハンドドリップとエアロプレスの2種類。そのほかにも、エスプレッソマシンを使ったカプチーノ、カフェラテなども楽しめます。ちょっとしたギフトに最適なドリップバックもあります。コーヒー豆を200g以上購入すると、ワンドリンクもしくはドリップバッグのサービスがあるそうなので、この機会にぜひ試飲感覚でいろいろな豆にトライしてみてください!

03.インタビュー

コーヒーの奥深さに魅せられて

下松市出身の酒井直樹さんは、福岡の大学を卒業後、食品卸会社に就職。研修でコーヒーの味や香りを評価するカッピングを行ったことがきっかけで、コーヒーの面白さに目覚めたといいます。

2年目に配属された沖縄では、休日によく通っていた自家焙煎コーヒー店のオーナーさんにコーヒーや焙煎について学んだそうです。コーヒーを生涯の仕事にしたいと考えて、働いていた会社を辞め、東京に出てさらに技術を磨くことにしました。

「自分が働きたいと思っていた店は当時スタッフを募集していなかったのですが、絶対にそこで働くと決めていたので、何回も足を運んで採用にこぎつけました。」

店ではバリスタとして働き、休みの日は焙煎の練習を繰り返す日々。直樹さんはコーヒーの香味を識別するカッピング技術を磨き、全国大会で3度の優勝を果たします。一方ではアンナさんも、コーヒーの抽出技術を競う大会で2016年に第5位に入賞。その味覚と嗅覚、技術は折り紙付きです。

 

地域に根差した店を目指して

結婚を機にお2人が独立を決意したのは2020年。

直樹さんの地元である山口県へ移住することに。

「人々の暮らしに溶け込む、まちのコーヒー屋さん」をコンセプトに下関市や萩市、山口市など県内の様々な地域を探し回った結果、辿り着いたのが周南市政所でした。

「お肉屋さんやパン屋さんなど、日々の生活に必要なお店がコンパクトにまとまっているまち並みに惹かれました」と直樹さん。続けてアンナさんも「近くの駐車場に車を停めて人が歩いて買い物をしている姿が見えたのが決め手となりました」と当時を振り返ります。

早速、空き店舗2軒分をオーナーさんと自分たちだけで3カ月かけて解体。壁や天井を壊したり、畳や瓦礫を撤去したりと、煤だらけになりながら進めたそう。設計士さんと相談しながら創った店舗は、白を基調としたシンプルなデザイン。主張しすぎない控えめなロゴも、飾らないお2人の雰囲気によくマッチしています。

まちの人の温かさに支えられて

新たな土地でのチャレンジを選んだ酒井さんご夫婦。

「テレビや新聞で取り上げていただいたおかげもあり、徐々に常連さんが増えていきました。こんなに応援してくれる人がたくさんいるんだって。地元の方々の温かさを感じています。本当にありがたいです。」と直樹さん。

アンナさんも、「情に厚い人が多いように感じます。『今度、友達を連れてくるからね!』と、クチコミでどんどん広めてくださる。宣伝部長さんが何人もいらっしゃる感じです。」と笑顔で話してくれました。

コーヒーの味づくりも、接客も、昨日より今日、今日より明日と常に向上心を忘れない。そんなお2人の真摯な姿を見れば、自然に応援したい気持ちになるのがわかります。

「今後はコーヒーセミナーを開きたいと思っています。ゆくゆくはオンライン販売やイベントへの参加などもしていきたいですね。そのために新たな焙煎機を導入する予定です。旧新南陽のシンボルでもあるオランダ風車にちなんで、焙煎機もオランダ製のものをと考えています。」と、地域に根差した店にするためのこだわりを忘れません。

amillcoffeeの近くには、姉妹都市のデルフザイル市にある風車「エオリス」をモデルにした「ゆめ風車」が建つTOSOH PARK 永源山(永源山公園)があります。

店名の「アミルコーヒー」は、「編む」と「will」を掛け合わせた造語。お2人にとって大事な家族、地域、生産地の未来を、コーヒーを通してつないでいきたいという意志が込められています。そして、周南市に根を張ることを決意したお2人だからこそ、まちの未来にも大きな期待を寄せています。

「僕たちのような個人店が増えれば、人の流れが生まれると思います。そうすれば、自然とまち全体が盛り上がり、地域外からも人が集まってくるはず。より活気のあるまちになったらいいなと思っています。」

「若いときに県外に出て、何らかの転機で周南市に戻ってくる人もいるはず。コロナ禍ということもあり、都会から地方への移住を考える人もいると思います。そんなとき、補助金などの条件を見て探す人もいるのではないでしょうか。周南市に移住や創業がしやすいチャレンジ制度のようなものがあると、このまちで働きたい、このまちに住んでみたい、という人がもっと増えていくのかなと思います。」

みなさんもお2人から直接お話を聞けば、きっとアミルコーヒーのファンになるはず。味わいと香りの向こう側にある物語に想いを馳せながら、いつも以上においしいコーヒーを味わってみてください!

04.関連リンク

記事:小野 理枝 / 写真:川上 優
執筆時期:2022年2月

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