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Gelateria Kurakichi | 藤井 蔵吉さん

01.プロフィール

Gelateria Kurakichi 藤井 蔵吉さん

クラキチさん

クラキチさん

1988年、周南市和田にある藤井牧場の次男として生まれる。広島の高校を卒業後、北海道の国立帯広畜産大学へ進学。在学中、JICA(国際協力機構)の青年海外協力隊短期派遣制度によりフィリピンにて酪農技術の普及活動を行う。大学4年生のとき、1年休学してカナダ・トロントへ留学。卒業後、周南市にUターン、家業を手伝う。2013年に道の駅ソレーネ周南に家族でソフトクリーム店をオープン。イタリアでの修行を経て2017年、徳山銀座通り商店街に「ジェラテリア クラキチ」をオープン。2020年8月に宇部市南小串に2店舗目をオープン。同年9月、徳山駅前地区市街地の再開発事業に伴い、1店舗目を周南市銀南街に移転。

02.モノとコト

クラキチのジェラートいろいろ

クラキチのジェラートいろいろ

 

創業100年の歴史を誇る藤井牧場直営のジェラート店
周南市銀南街にある複合商業施設「bloom&dream(ブルーム&ドリーム)」内にあるジェラート店「ジェラテリア クラキチ」。店頭に並ぶのは常時10種類のジェラート。ショーケースに並べられた色とりどりのジェラートは、見ているだけでワクワクしてきます。

「クラキチ」は、店主の高祖父にあたる藤井牧場の創始者、藤井蔵吉さんの名前。日露戦争から復員後、まだ農耕用の黒い牛しかいなかった時代に「おいしい牛乳を飲ませたい」と思い立ち、ブラジルから3頭のホルスタイン種の乳牛を買い取り、家族同然に飼い始めたのが最初だそう。そんな高祖父のパイオニア精神にあやかりたいと、店名に使用。店主自らも改名し、その名前を受け継いでいます。

厳選素材を使用。体のことを考えたやさしい甘さ

ジャンクフードやインスタント食品が大好きだったという店主の藤井蔵吉さん。体の異変に気づいたのは成人してからでした。「人工甘味料や添加物を摂取すると、吹き出物が出たり、吐き気、眠気に襲われるようになったり…体質的に合わなくなったんです。そこで、自分が無理なくおいしく食べられるように、人工甘味料や香料、着色料などの余計なものは一切使わず、高品質で安全な素材を全国から集めてジェラートを作っています。また、僕自身が甘いものが苦手なので、できるだけ素材本来の持ち味をいかしたやさしい甘さに仕上げています」。

ここでしか食べられないフレーバーがたくさん!
「ジェラテリア クラキチ」には、いろいろな味を求めて訪れるリピーターが絶えません。なかでも一番人気は、藤井牧場から毎朝直送される搾りたてのミルクを使った「朝搾りミルク」。コクがあるのにさっぱりとした後味です。そのほかにも、創業200年を迎える周南市の酒蔵「はつもみぢ」の酒粕を加えた「甘酒ミルク」、高瀬地区で栽培されている高瀬茶と宇治抹茶をブレンドした「高瀬茶抹茶」、由宇のTAROいちごを使った「いちごミルク」など、ここでしか味わえないフレーバーもたくさん! まだの方はぜひ好みのフレーバーを探してみてくださいね。インターネットでの購入もOK。ふるさと納税の返礼品としてもご利用いただけます。

酒蔵「はつもみぢ」十二代目蔵元原田康宏さんの記事はこちらから読むことができます

ふるさと納税はこちらから

 

03.インタビュー

思い立ったら即行動。好奇心旺盛だった少年時代

「ジェラテリア クラキチ」の店主、藤井蔵吉さんが育ったのは、美しい山々に囲まれた周南市和田地区。ご実家はおよそ100年もの間、ここで小さな牧場を経営されています。

生まれたときから牛とともに過ごしてきた藤井さん。生き物を大事にするのは当たり前という感覚が自然と身についたようです。小学3年生のときには、テレビで見た「ムツゴロウ動物王国」に衝撃を受けて、ガイドブックを片手に一人で北海道へ旅行。「白樺の林の中を馬で走るというメルヘンチックな風景を、ぜひこの目で確かめてみたいと思ったんです」。好奇心旺盛な藤井さんの行動力を物語る逸話です。

 

大学時代に起業するも、ことごとく失敗

中学を卒業後、親元を離れて、母方の実家がある広島の高校へ。その後、北海道の国立帯広畜産大学へ進学しました。しかし、当時は実家の牧場を継ぐことを考えていたわけではありませんでした。「なぜ成長するのか、なぜ病気になるのか、なぜ死ぬのかといった生物への興味が増していき、いずれは研究職に就こうと思っていました」と当時の心境を振り返ります。

一方で、「いつか自分で商売をやってみたい」という起業家精神も持ち合わせていたよう。「大学1年生のとき、軽バンを調達してタコ焼き屋を開業するも失敗。続いてクレープ屋を始めるも、またも失敗。借金がどんどん膨れ上がってしまいました。そこで、朝4時から深夜までアルバイト漬けの生活を送り、半年でなんとか返済しました。アルバイトをするよりも起業する方が効率よく稼げると思ったのですが、そううまくはいきませんでしたね」。

ジェラート作りには実験のような楽しさがある

起業についてまだ具体的な構想はなかった藤井さん。大学を卒業後、ひとまず山口県へ戻って実家の藤井牧場を手伝うことに。そして、3年後、牧場のことをもっと多くの人に知ってもらいたいとの思いから、道の駅ソレーネ周南に家族でソフトクリーム店をオープン。牧場直送の新鮮な牛乳を使ったソフトクリームは、あっという間に評判になりました。そして、イタリア・ボローニャでの修行を経て、2017年に念願の「ジェラテリア クラキチ」をオープンしました。「単純にジェラート作りが楽しい。もともと実験が好きだったこともあり、液体を固体にするプロセスの楽しさ、合わせる素材や分量によってさまざまな表情を見せる奥深さに魅せられています。また、ジェラートは地域の素材を取り入れやすいというメリットも。おいしい果物や野菜を実直に育てている生産者さんを、ジェラート作りを通じて応援したいと思っています」。

 

お客さんの反応をダイレクトに見られる面白さ

「奇をてらったものではなく、オーソドックスでおいしいジェラートを作り続けたい」と語る藤井さんに、お仕事の魅力について聞いてみました。

「お客さんの反応を直接見られるのがこの仕事の醍醐味。『おいしい』と言われると単純に嬉しいのですが、そこで完結してしまう。逆においしくなさそうな表情って、めちゃくちゃいいですよね。なんでだろうって探究心を掻き立てられます」。常に研究心旺盛な藤井さん。根っからの研究者気質のようです。

周囲のサポートがあったからチャレンジできた

現在、周南市銀南街と宇部市南小串にある「ジェラテリア クラキチ」。最初の店舗はJR徳山駅前でした。「道の駅ソレーネ周南で始めたソフトクリーム店のときはおかげさまで順調なスタートを切ることができました。でも、それは立地や駐車場などの条件が良かったから。だから、最初から条件の厳しい場所で商売を展開すれば、後々役に立つだろうなって。それには観光地でもなく、人もまばらな駅前はぴったりでした。それに、大学時代に起業して失敗を繰り返すうちに、自分は凡人なのだと痛感しました。能力以上のことをやろうとしてもダメ。できないことは他の人にお願いして助けてもらった方がいい。ここなら地元の有力者のサポートも受けやすいだろうと考えました」。藤井さんの言葉の端々には、つながりを大切にしながら地域に根付いていきたいという思いが込められています。

人と人をつないでまちをもっと元気に!

続いて、一緒に働くスタッフへの思い、まちへの思いも語ってくださいました。「働く人がやりたいことを実現できる環境を作れば、まちなかでお店を開きたいという人が増えていく。そうした人とサポートできる人とをつなぐことができれば、個性的なお店が増えていく。個性的なお店が増えれば、まちに人が来るようになる。そして、相乗効果が生まれて自分たちにもプラスになる。そうした良い循環を生み出したいと思っています。起業を考えている大学生、子育てが一段落して趣味を本業にしたい主婦など、新しいことに挑戦しようとしている人の背中を押せるように、できる限りのことをしていきたいです」。

周南市での懐かしい思い出、ほっとする味

学生時代、通学や通塾の待ち時間にJR徳山駅を利用することが多かったという藤井さんに、周南市での思い出を聞いてみました。「特に印象に残っているのは、今の周南市立徳山駅前図書館ができる前、つまり改修前の駅ビルです。図書室のような空間があって、そこに置いてある『ドカベン』をひたすら読んでいましたね。今はおしゃれな駅前に生まれ変わりましたが、昔から続いている老舗と新しくできたお店とが入り交じった魅力のあるまちへと変化しつつあります」。

行きつけのお店を聞くと「カレーと喫茶 でん」とのこと。Uターンしてから通い続けている常連です。「おばちゃんが作っている普通のカレーが一番おいしい。かしこまらない、ほっとする味がいいんですよね」。

 

牛からはじまる全てを価値あるものに

最後に、今後の目標について聞いてみました。「一つは、森をいかした新しい牧場を作ることです。放置された森を放牧の場として活用することで、中山間地域が抱える問題を少しでも解消できるのではないかと思っています。もう一つは、事業の拡大です。店舗だけでは手狭になってきたので、周南市長穂地区にある廃校を借りて、製造室を作ろうと考えています。バターやチーズなどの乳製品も作ってみたいですし、牛糞を使ってマッシュルームも育ててみたい。やりたいことはたくさんあります!」。牛が生み出す全てを価値あるものにしたい。藤井さんの夢は大きく膨らんでいます。

04.関連リンク

記事:小野 理枝/ 写真:川上 優

執筆時期:2021年11月

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